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白い三日月
JUGEMテーマ:音楽

白い三日月 / STERUSS
★★★★★★★★☆☆

01. 97.3.18へ
02. 白い三日月
03. 9月ジャズ
04. マイク中毒pt.2 feat.サイプレス上野
05. 透人
06. シナリオ22 (通過点ミックス)
07. 対極圏
08. 兵隊はアンドロメダ feat. Organ
09. 反復音楽
10. 星屑と銀河鉄道 feat. Deep sawer
11. 真夏のジャム

荒んだ日本語ラップ界の終焉。

045スタイル。一般的にOZROSAURUSやDS455の活躍が目立ち為"レペゼン横浜=ギャングスターやローライダー"というせま苦しい枠が出来上がっているけど、彼等STERUSSはそれに真っ向から対立するかのようにレペゼン184045を掲げている。横浜でありながら今までの横浜の流れを汲まず、新たな横浜スタイルの確立を目指している彼等やZZプロダクションの面々は、注目度なら現在No.1だと思う。

STERUSSの名が知れ渡るキッカケになったのは『HOMEBREWER'S Vol.2』という所謂アングラコンピレーションアルバム(Vol.1にはMSCや韻踏などが参加)に収録された"ibukuro"という楽曲の功績が大きい。非常に完成度の高いこの楽曲は、他のアーティストの楽曲と比べると「系統は同じだが立っているステージが違う。」とまで感じた(あのアルバムの中で、唯一「この曲が欲しい」と一点買いされたという逸話もそれを物語っていると思う)。そんなリスナーや関係者に格の違いを見せつけた彼等の待ちに待った新譜は良い意味で大きく期待を裏切る、いや予想の範囲を突き抜けた極上の一枚になっている。

JAZZテイストの滑らかなトラックの数々は「心地良い」というありきたりな表現だけでは済まず、どこか残忍で恐ろしい凶暴性をも匂わせる。そこに「今のままではダメだ!」という、嘆きや向上心が詰まった等身大のリリックを吐き出す彼等のスタイルは非常にアンバランス。リリックが咬み合って無いわけでは無い。トラックが浮いているわけでも無い。ただ「何かが抜け落ちている」のだ。この何かが抜けているという感覚が『世界の終わり』という言葉を僕に埋め付け離れない。ただ単に一種の病気かも知れない。けど、間違い無く彼等は僕に一つの世界の終わりを告げ、そして白い三日月が輝く新しい世界の扉を開いてくれた。
更に突出すべき点は、一つ一つの音が丁寧に且つ、肌理細やかに作られているということ。それは特にベース音に表れていてスピーカーから流れてくる音は、とても重圧で体の中に染み渡り全てを包み込む。曲間の調整も絶妙で最後まで否応無く聞ける作品だ。ここまで細部に拘った作品は近年類を見ないと声を大にして断言できる。

"マイク中毒Pt.2"の話題性ばかりが先行しているが、彼等の本当の良さというのは日本語ラップに新たな世界を作ったというコトにあると思う。一通りシーンの歴史や現状を知りつつ、だからこそ今のシーンに不満を抱えている日本語ラップ中級者にこそ聞いて欲しい作品だ。
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