焦燥 ENIGMA PART2 EP / 8th Wonder
★★★★★★☆☆☆☆
01. 焦燥
02. Enigma part.2
03. Triple Poets (Chaos remix)
04. 独白 (Hanumand remix)
05. 独白 (Masashi remix)
06. Triple Poets (Authentic remix)
07. 半夢 (Normsong remix)
08. 戦争を知らない第三者の日記 (Mameshiba remix)
09. Triple Poets (Com.a remix)
比較的珍しいエレクトロニカで流動的な打ち込み音が鳴り響く機械的なトラックに映える詩的なラップが新しい日本語ラップの形とも思える8th WonderのデビューEP。アブストラクト的要素が詰まっているグループで詩的なラップは聞くものを真理に近づける。それを可能にしてるのがMasashi,KSK,Fakeという3MCのライミングであり嘆きだ(ちなみにMasashiはトラックも手がけていて、更にNEJEL MONGRELっていう別名義で全編英語詞の叙情的なラップ作品もリリースしています)。
一歩間違えれば病んでると思われても仕方が無いような嘆き。詩に近いスタイルでの高速ラップというコトでTHA BLUE HERBのBOSS THE MCに近い印象を受けるが正確に言うならBOSS THE MCは地元札幌から東京や社会に対しての批判心でリスナーに「俺はこう感じている。でも、なんでオマエ等はこう感じ無いんだ」って持論をぶつけているのだが、この8th Wonderはそうでは無く自分の中で生まれた物語を自らぶつけている。云わば自己満ラップなのだ。自分への苛立ちや焦りを感じさせるリリック。感情的で狂気にも思えるフロウ。それが機械的なトラックとのギャップを創り相反する二つが上手く相乗効果を生みだし高いレベルでの物語になっているのだろう。
その中でも特に聞いてもらいたいのが"戦争の知らない第三者の日記"トラックが濁流のような速さで流れる性で折角のリリックが聞き取りにくいが、かなりの傑作だ。戦争にリアルさを感じない自分達だからこそ聞かなければいけない曲だと思う。9曲で60分を越し、そんなところからも問題作といえるこの長編大作。現在若干入手困難だがアブストラクト要素が好きなリスナーやOLIVE OILなどエレクトロニカなトラックに眉唾なあなたにこそオススメしたい一品だ。
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